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トスカーナへの旅_1 Waro

建築家である私がなぜトスカーナに旅するのでしょう。 2002年秋、カリフォルニア大学バークレー校で講演を頼まれたところからトスカーナへの旅は始まります。アメリカからトスカーナに至るまで、少し長い話にはなりますがしばらくお付き合い願えればと思います。

1976年、人生初の海外旅行ーテーマは「アメリカの現代建築を見る旅」

生まれて初めての海外旅行、その最後に訪れた街がサンフランシスコでした。疲れ果ててはいましたが、どうしても見たい建築がいくつかありました。

まずはダウンタウンにあるフランク・ロイド・ライト設計のモリス商店

今では高層ホテルの定番となったアトリウムを最初に実現した建築、竣工したばかりのハイアット・リージェンシー

その建築を一角に持つエンバカルデロ・センターの開発

ハルプリンがデザインした広場・・・などを見ようと思っていました。




その時からアメリカを訪ねる際には最終目的地がどこだとしても、とりあえずカリフォルニアから入ることにしました。当時はN.Y.への直行便がなくロスアンジェルスかサンフランシスコがアメリカへの入り口だったのです。

いつもその時の気分によってどこから入るのかを決めていました。どんな季節でも暖かくて青空も印象的なL.A.から入る方が気分的に楽だし、大好きだったケース・スタディ・ハウス(1960年代のロスアンジェルス建築を代表する住宅群)もあるので、ついつい夏も寒くて天気も不安定なサンフランシスコからは足が遠のいていました。


ところが2002年の秋にはサンフランシスコの隣町にあるバークレー校で建築の講義をしたことがきっかけで、翌年の秋学期に客員教授として大学院のスタジオを指導することになったのです。そのためにバークレーに2003年10月から5週間滞在し、クリスマスには最終講評にまた戻る羽目になりました。それがサンフランシスコとの距離をぐっと縮めました。

バークレー校で大学院のスタジオを一緒に指導したラビバーン先生はどこでエンストしても不思議じゃない古いBMWを乗り回していました。その彼女の運転で2002年に初めてナパを訪ねます。それはスイスの建築家ヘルツォーク・アンド・ドムーロンが設計したドミナス・ワイナリーを見たかったからです。ナパの町はサンフランシスコから車で1時間ぐらいのところにあります。美味しいレストランと優秀なワイナリーが点在し、バークレーの人も週末には気軽に食事に向かうようなところです。

我々はサンフランシスコからゴールデン・ゲート・ブリッジを渡って北へ向かいました。途中にあるフランク・ロイド・ライトが設計したマリン・カウンティ庁舎に立ち寄ったりして、夕暮れの頃ナパに辿り着きます。夕日を後ろから受けたドミナス・ワイナリーには何故か誰もいません。誰もいないワイナリー。その蛇籠の外壁越しに隙間から入ってくる西日が美しかったことを覚えています。わずか15分ほどの滞在。

そんなナパを建築以外の目的で訪ねる時がくるとは、その時は想像もつきませんでした。








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