レストランでワインを飲むとき、ワインリストから知っているワインを選ぶ、ソムリエがいるようなレストランだとお勧めを聞くのが一般的だと思います。つまり「料理にあったワインを選ぶ」。
でも今回は「ワインにあった料理を食す」。
ワイナリーでワインの試飲をすると、本格的なお料理を出してくれるところは、見学コースもバッチリ組まれ、レストランも併設されているような大手のワイナリーになります。うちの近くですと、バンフィやアンティノリなどがこのスタイル。
私がよくお客様を連れて行くワイナリーは小さなところが多いので、お口直しにチーズやサラミを出してくれる程度です。ワインを口に含みながら、「これはイノシシ料理に合いそう」「こっちは白身魚の天ぷらと飲んでみたいね」と想像しながら皆でおしゃべりするのも楽しいのですが、やはりちゃんとお料理と合わせてワインを飲んでみたい!

それが今回、スカンサーノのワイナリー カザビック(Casavya)からオルベテッロのアグリ内にあるレストランで彼らのワインにあった料理を出す食事会を企画したとお知らせをもらいました。
こんなチャンスはなかなかない!と思い、行ってきました。
前菜、プリモ、セコンド、デザートにそれぞれ違う種類のワインが出ます。

まずは前菜。シャンパンと同じ製法で作ったロゼの泡 A Riveder le Stelleに合わせるのは鳥レバーペースト、塩味のクルミ入りカントッチ、青リンゴ煮。
ここで、少し発砲ワインの説明。「シャンパンと同じ製法で作ったロゼの泡」と上で書きましたが、どうしてこんな書き方となったかと言うと、「シャンパン」と名乗れるのはフランスのシャンパーニュ地方で作るもののみなので、製法が同じでも「シャンパン」とは名乗れず、「伝統的な製法で作った発泡ワイン」としか名乗れません。
さて、話をお料理に戻します。
カントッチ(Cantucci)はトスカーナの伝統的な小麦粉、アーモンドでできた硬くて甘いビスケットです。食後にビンサントと呼ばれる甘いワインとともに出されることが多い(硬いビスケットをワインに浸けて食べます)のですが、今回は砂糖なし、アーモンドの代わりにクルミが入ったものが前菜として出てきました。

プリモはマレンマ牛のリストレット(濃縮スープと訳せばいいでしょうか?)とパッパ アル ポモドーロを詰めたラビオリ。これまた、説明が難しい料理が出てきました(苦笑)。
ラビオリは日本でも随分浸透したと思いますが、イタリア版餃子とでも言えばい想像しやすいでしょうか?
パスタ生地に中にひき肉やみじん切りの野菜やチーズなどが入ったパスタです。
今回はなんと中身がパッパ アル ポモドーロ(Pappa al pomodoro)。このパッパ アル ポモドーロ、トスカーナ地方の庶民料理(piatto povero ピアットポヴェロ 貧しいお皿という意味。残り物や安い食材で作った料理)で硬くなった残り物のパンをトマトで煮たまさに残り物料理です。
これをソーヴィニオンブランの白ワイン Piano Piano Poco Poco と合わせます。
牛の濃縮スープに白ワイン!?と思いきや、ラビオリの中身のトマトの酸味と合わせるとなかなかいけます。こういう組み合わせは、やはりシェフでないと思い浮かばないのかなと思いつつワインを傾けました。

そしてメイン(セコンド)は牛の頬肉の低温調理煮込み。付け合わせはカリフラワーのスフォルマート。ワインはピノネロの赤ワイン Temeraio 。
スフォルマート、日本ではなんというのかとネットで調べたら呼び名はそのままでしたが、イタリア版茶碗蒸しと説明されている日本人シェフがいらっしゃいました。
野菜、ベシャメルソース、卵、チースなどを型に入れオーブンで蒸し焼きにした料理です。
そして頰肉がとろけるように柔らかい!

最後は塩キャラメルが中に入った、フォンダンショコラとシラーの赤ワインSyra。
ちょっと私には塩が効きすぎな感じがしましたが、ワインとチョコの組み合わせはまずまずでした。
食事が始まったのが、21時、わいわいがやがやとおしゃべりしながら食事をして終わったのが24時近く。
日本人、さらに私のお年頃ではなかなかハードな時間帯でした。
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